ご両親に挨拶に行ったら、お祖母様が難題を持ちかけてこられた。
結婚相手のご両親に挨拶に行く。タダでさえ緊張する行事ですけれども、ご両親に挨拶が済んだあと、お祖母様が話し始められました。
「昔、私が嫁入りした時、ご挨拶の品として、座布団を持って行かなかったので、新婚生活が始まっても何年もの間、そのことを姑に言われました。孫にはそんなことになってほしくないので、ご挨拶の品として、座布団を30枚ばかり持たせようと思っております。どうかお受け取りください。」というものです。
しかし、時代は進んで、座布団30枚といえば、自宅でお葬式が出来る位の枚数です。
片付ける場所もありません。
そこで、私は、お祖母様とご両親に向かって話し始めました。
「私は、親戚、従兄弟達みんなの中で、始めて結婚する長男です。私が、結婚式にまつわり行ったことは、従兄弟達の手本になります。これからの時代、自宅でお葬式をすることは減っていくと思います。法事も同じです。そんな中で、私が、座布団30枚頂戴したら、続いて結婚していく従兄弟達も、参考にせざる得なくなります。お祖母様のお気持ちは、十分心に染みましたので、私がご挨拶の座布団をお断りしたということは、親戚と従兄弟達一同に伝えてまいりますので、今回はお気持ちだけ頂戴するということで、どうかご理解ください。」
すると、お祖母様は、ご理解くださり、おみやげの品だけは、お受け取りくださいませ。と話されました。
この件は、これで決着がついたのですが、とっさの場で、あれだけの話を出来た私に対して、ご両親と妻は、感動した。と後から聞かされました。
そんなエピソードを、今でも覚えています。